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2015年5月13日ネパールから現地レポートが届きました


みなさま

4月25日(土)正午前、マグニチュード7.8の大地震がネパール全土を襲いました。その後も大小100回以上の余震が今も毎日続いていて、死者8,300人以上、負傷者14,000人以上と伝えられています。エベレスト登頂予定でベースキャンプにいた外国人やシェルパ族たちも、地震によるなだれに遭い、数十人の犠牲者が出ました。

このとき、私は自宅で昼食準備中でした。階段の電灯が揺れでぶつかって割れたり、食器棚の皿などが落ちて割れたりしましたが、家屋は大丈夫でした。私の娘は、この日注文したケーキを近くのケーキ屋に受け取りに行っていて地震に遭い、急いで店のテーブルの下に身を置き、揺れが収まったのを機に自宅に戻りました。自宅は二日後に電気が復旧しましたが、インターネットはまだ使えません。今日、親族宅に私のラップトップを持ち込んで、地震後初めて受信トレイを開け、このメールを送信しています。

カトマンズ

カトマンズ

ユネスコ世界文化遺産カトマンズ旧王宮は、壊滅的な被害を受けました。2月22日にガールスカウト日本連盟のワールドシンキングデイ2015オンラインイベントで、私がビデオの中で紹介したあの建物は、もう以前の美しいネワール様式の姿を留めていません。

カトマンズの名前の由来となったカスタマンダップという1本の黒ダール豆の木で作られた建物は、一気に倒壊し、献血活動をしていた人たちを全員生き埋めにしてしまいました。1826年に建てられ、1934年の今回よりも大きかった地震で崩落したダーラハラという展望塔は、2年後に再築され、今から10年ほど前に改修されたものの、今回の地震で再び崩落し、100人以上の遺体が発見されました。バサンタプル広場には、自宅倒壊を恐れた人々が避難し、大勢がテント生活を送っています。4月28日にはネパールスカウトのテントが1張立っているのを見ました。

被害はカトマンズだけでなく、パタンやバクタプル、スワヤンブナートなどたくさんの世界遺産にも及びました。また、震源地のゴルカやシンドパルチョークも全滅しました。そして、サンクー村も例外ではありませんでした。昨日、私はサンクー村に行ってきました。

サンクー小学校

サンクー小学校

地震後ずっと校長先生と連絡が取れず、カトマンズ市内に嫁いでいる女の先生方やその実家の方々を通してやっと話ができました。サンクー村の家々はとても古く、ほとんどが倒壊してしまったそうです。いつも通っているサンクー村に入る道やその先の商店街の道が、倒壊した家々の木やレンガなどのガレキの山でふさがっていて通れないとのことでした。昨日は、回り道をしてサンクー小学校までやっとたどり着き、校庭の外壁は多少崩れたものの、校舎には被害がないことを確認しました。校舎の1階4教室には校長先生の家族をはじめ、近所から非難してきた人たちが大勢いて、カトマンズ内は何でも品薄ですが、緊急的に小さなタクシーで運べるだけの品物をと、お米やそのまま食べられるインスタントラーメンとビスケット、紙皿やプラスチックスプーン、石けんやマスク、傷薬や脱脂綿、解熱剤などの薬を配ってきました。他の男の先生は自宅から非難しやすかった中学校(奨学金を与えた女子も通っていた)にいて、そこにも救援品を配ってきました。別の避難所にいた4年生男子生徒は、5年生の姉が地震で死亡したそうで、とりあえず干し飯20kgを渡しました。他の生徒たちの音沙汰はつかめていません。調査をしようにも、直接会えなければ連絡の取りようが無いのです。先生方は全員無事でした。以前に家庭訪問をしたことのある元生徒の家は、母親が数年前から学校の用務員をしていて、そこもめちゃくちゃに壊れていました。先月亡くなった学校運営委員会委員長で前校長の家も全壊、校庭に隣接する学校建設委員会に属した方の家も住める状態ではありませんでした。

新校舎を建てる前に使っていた建物は、正面は無傷のように見えましたが、右側面は壁が全て崩れ落ち、全階部屋の中が丸見えでした。いつも補習教科書を買っている本屋兼文房具屋の家は半壊でしたが、何とか使えそうな品物を別の場所に移動していたので、家の1階分もあるような道々のガレキの山を転ばないように注意しながら手伝いました。

私たちがサンクー村を出るとき、日本の災害援助隊が2台のデラックスバスに分乗して、村に入ってきたところに出会いました。日本政府から発表されたネパールへの復興援助金額は、今のところ他国に比べて断然多く、トップです。日本国民の血税が、ネパールの地震被災者のために、不正使用なく、必要な品物が必要な人の手元にきちんと届くように使われるよう希望します。

当初、政府から「学校は公立・私立ともに全部5月2日まで臨時休校」という通知がありましたが、バイサク月末(5月14日まで)に延期されました。主人は(経営する)ホテルの宿泊客の安全を守るため、余震が続く中、毎日ホテルに通っています。周辺の建物の倒壊を心配している古い家に住む人たちには、夜、寝るときにロビーを貸してあげています。また、時間が空けば、カトマンズ旧王宮や周辺の倒壊した建物の片付けにボランティア参加しています。一般の人々も、自分ができる範囲で救出活動や救援活動に携わっています。私も、家族も、無事だったことに感謝して、できるだけのことをやっていこうと思っています。

2015年5月4日

ガールスカウト東京都第43団 SCAPP(スキャップ) 伊勢 香

ガールスカウト日本連盟では、今回のネパール大地震に対し寄付を募集しています。
日本連盟からの支援内容は、現在ネパール連盟と協議中です。

なお、サンクー村小学校への直接支援については、東京都第43団のブログをご覧ください。

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