ジェンダー平等の実現なしに
持続可能な開発目標(SDGs)の達成はできないと考える
ユースチームが実施したジェンダーに関する調査報告
2020年7月に発行した調査報告書の一部を抜粋してご紹介します。
つぶやき
この調査を企画したメンバーの一人の声を紹介します。
私は小さいころから、どうして自分は女の子なんだろう? と思っていました。
言葉遣いが汚いこと、たくさん食べること、帰ってくるのが遅いこと、いろいろなことで怒られていました。怒られていた理由は、私が「女の子だから」ではないと思います。でも、なんとなく心のどこかで、男の子ならここまで怒られていないんじゃないか? と思ってしまう気持ちがありました。
大人になった今は、化粧をすることはマナーだとか、一人旅は危ないとか、家事ができないとだめだとか、そんなことを言われます。もちろんなんでもできるに越したことはないし、きれいな方が良いかもしれません。でもそれは、性別に関係があるのでしょうか? 女の子だから、男の子だからやらなきゃいけないこと、やってはいけないことなんてあるのでしょうか? 私は、誰が何をしてもいいのにな、と思います。
性別によって、無理矢理やらされることがあったり、挑戦する機会が失われたら、それはもったいないと思うのです。自分が好きなことや自分がやりたいことを「やる」と言える世の中になったらいいなと思っています。
この報告書には、ジェンダー平等の実現がさらに望まれる今だからこそ、知ってもらいたい女性の本音がつまっています。
私たちの考えが、女性の気持ちが、多くの人に伝わりますように。
01 この調査について
2019年にガールスカウトでは「ジェンダー」に関する女子高校生調査を実施しました。そこでは、男女という枠組みで多くの女子高校生の可能性が狭められていることが分かりました。それを知った私たちに「女子大学生(18歳から25歳)の現状はどうなっているんだろう?」という疑問が起こったのは自然なことでした。
この調査は、そんな疑問を持った10代・20代の4人が、「女子大学生のおかれてい
る社会の現状や意識を明らかにしたい」と、企画・実施をしたものです。
私たちは、次の三つの仮説を立てたうえで調査を実施し、回答を分析しました。
調査では、「女の子だから」という理由で、47%の少女が、日々の活動に制限を受けたり、不平等や不公正を感じたりしているという結果になりました。また、37%が「学校の先生の言動にジェンダーの偏りを感じる」、共学校に通う54%が「教師の期待や言動等は男女で異なる」と感じています。学校で性別役割分担がおこなわれ、ジェンダー規範に基づいて、活動機会が制限されています。自由記述に
は「リーダーシップをとらなくてよい」「スポーツや進路をあきらめた」「家事を期待される」「荷物運びはしなくてよい」といった、チャレンジする機会が限定的で、枠にはめられている女子高校生の姿が見えました。
- 女性は人生の選択の可能性を狭められている。
- 多くの女性は性的な嫌がらせや性差別を受けたことがある。
- 女性のあり方はメディアから大きく影響をうけている。
仮説1. 女性は人生の選択の可能性を狭められている。
「女性である」ことが、就職や結婚などの選択に大きな影響を与えていることがわかりました。
女子大学生たちの31%が「結婚をするかはまだわからない」と回答する一方、50%は「出産後同じ職場で働く」と回答しています。結婚するかは、まだ分からないが、キャリアを考える時に、「出産」というライフイベントを見据えキャリアを変更する必要を感じていることがわかりました。
女子大学生たちのなかには、出産後は女性が子育てをするイメージがまだ、根強く残っており、出産をするならキャリア選択の余地はあまりないと考えている様子が垣間見えました。その一方、「家庭に入る」という価値観は既に古いと考える女性が増加しており、理想と現実の狭間で悩んでいる女性の姿を調査結果からみることができました。このダブルスタンダード (二重基準)の結果として、就職を考えるときに、女性であることが障害になると考えている大学生は72%いました。
仮説2. 多くの女性は性的な嫌がらせや性差別を受けたことがある。
日常生活においては、約92%の女子大学生が性的な嫌がらせや性差別を受けたことがあることがわかりました。これは、高校生年代の66%(※1)を大幅に上回っており、ほぼ全員とも言えるほどの数字です。さまざまな不安や恐れ、懸念や葛藤を抱えながら毎日を送っている女性が多くいるということを意味します。
- 1ジェンダーに関する女子高校生調査報告書2019 ガールスカウト日本連盟
仮説3. 女性のあり方はメディアから大きく影響をうけている。
メディアで「男女が平等に扱われている」と回答したのは29%に過ぎず、54%は「メディアが理想の女性像を作っている」と回答するなど、メディアが与える影響について多くの声が寄せられました。
特に「メディアが伝える理想の女性」は、美しさやしとやかさなど外見だけではなく、料理上手で家事ができ、子育てをするなどの役割に関しても伝えていることがわかりました。女子大学生たちは、女性が働くことを推進される一方で、「家庭的」でないといけないという二つのイメージの間に板挟みになっていると言えるでしょう。
今回の調査では自由記述を多く取り入れたことにより、たくさんの声を聞くことができました。
ジェンダー平等の実現がさらに望まれる今だからこそ、知ってもらいたい女子大学生の本音が詰まっています。
女性たちの気持ちがより多くの人に伝わりますようにという思いを込めて、この報告書をお届けします。
調査概要
調査対象 全国47都道府県の大学生年代の女性(18〜25歳)
今回の調査対象全体を「女子大学生」として表記しています。
回 答 数 536(ガールスカウト会員216名 ・元会員37名 ・ 一般 283名)
調査方法 インターネット回答 全40問(選択30問、記述10問)
調査期間 2019年12月6日〜2020年1月17日
アンケートにご協力くださった方々に心より感謝します。
参考にした調査
- 「Girls’ Attitudes Survey 2019」Girlguiding UK
- 「ジェンダーに関する女子高校生調査報告書2019」ガールスカウト日本連盟
- 内閣府 男女共同参画社会に関する世論調査 2019年
- 東京都足立区 男女共同三角に関する区民及び大学生意識調査 2019年
- 愛知県名古屋市 大学生に対する男女共同参画意識の調査 2016年
数の処理について
構成比の割合は小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100とはならない。
キーワード
社会的・文化的な性差。生物学的な性差と対比して使われる。
同じ状況にも関わらず、対象によって異なる基準を設けること。
性別により役割や労働などに相違があること。家庭や社会において求められる性別役割。
人が無意識にもっている、ものの見方やとらえ方の偏り。
賃金の発生しない労働のこと。育児、介護、家事なども含まれる。その多くが女性により担われていることから男女間の不平等を引き起こしている。
このアイコン部分は、今回調査を担当した4人が日常感じている違和感や、調査をすすめるなかで感じた違和感についてまとめています。

02 ジェンダー
ジェンダーという言葉を聞いたことがありますか?

まず、ジェンダーという言葉の認知度を調べました。その結果、ジェンダーという言葉を聞いたことがないという人は2%、聞いたことはあるが意味はわからないという人は4%で、ジェンダーという言葉はほぼ浸透してきているという印象を受けました。一方、その意味を自信をもって説明できるかと問われると、56%の人が「できない」と回答し、意味の理解度は十分広がっていないことがわかりました
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概要:女子大学生 × ジェンダー調査報告書 2020
「女子大学生(18歳から25歳)のジェンダーに関する現状はどうなっているのか」と疑問を持ったユースチームが実施したジェンダーに関する調査を報告書にまとめたものです。
「女子大学生」はジェンダーに基づく差別や暴力をどの程度経験しているのか。社会やメディアから、どのようなメッセージを受けているのか。就職や結婚などのライフイベントに関する意識をまとめています。
日常生活の中で起こる「性的な嫌がらせや性差別」については、2019年にリリースした「女子高校生調査」と比較したところ、女子高校生を大きく上回る結果が明らかになりました。
発行:2020年7月

調査報告書冊子版の販売について
『女子大学生×ジェンダー調査報告書2020』の販売は終了いたしました。









