ジェンダーに関する女子中高生調査報告書2023

「女の子だから」という言葉が与える影響

2024年3月に発行した調査報告書の一部を抜粋してご紹介します。

はじめに

私たちの価値観や認識は、意識する・しないに関わらず、さまざまなものから構成されています。子どもたちは、生活の中心となる家庭や学校から、ジェンダーに関する価値観や規範を学び取っていきますが、残念ながら私たちの周りにはまだまだ変えていかなければならない「女の子だから」という無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)があります。

ガールスカウト日本連盟は2019年からさまざま年代を対象に、ジェンダーの意識に関する調査を継続しておこなっています。今回の調査は、過去に高校生年代を対象とした調査の結果と比較し、女子中高生が経験する「ジェンダーに基づく差別や暴力」の意識から少女たちが安心して過ごせる社会になっているのか、現状の把握と変化を検証しようと考えました。併せてガールガイド・イギリス連盟がおこなった同様の調査の結果を用い、海外と比較することで日本の女子中高生の現状を客観的に把握することも試みました。また、今回はコロナ禍に関する調査項目を加え、社会の変化やパンデミックの不安が少女たちにどのような影響を及ぼしたのか海外比較を交えて検証しました。

2022年3月8日国際女性デーに、内閣総理大臣は「我が国の現状は、ジェンダーギャップ指数が世界第120位であることに表れているように、諸外国に比べて大変立ち遅れていると言わざるを得ません。こうした現状の背景には、男女間の賃金格差の存在や固定的な性別役割意識など、構造的な問題があると考えられます」とメッセージ(1)を出しました。

近年、女性が働くことは当たり前になっており、新生活様式でリモートワークの導入が増えるなど働き方も多様になっています。しかし、いまだに男女の賃金格差があるのが現状です。令和4年賃金構造基本統計調査(2)の結果によると、一般労働者の男性を100としたときに、女性の賃金は75.7でした。コロナ禍においては、雇用打ち切りや無償ケア労働の増加により、働きたくても働けない状況に陥る女性もいました(3)。雇用の面ばかりではなく、女性へのDV の増加など、少女たちも少なからず影響を受けています。NHKが2022年におこなった調査(4)では多くの中高生がストレスや将来への不安を感じていることがわかりました。コロナ禍に少女たちは、どんな期待や不安を抱いていたのでしょうか。明るい未来は描けていたのでしょうか。

「すべての少女と女性が自分らしく生きられる社会」を目指し、一人ひとりがジェンダー平等について自分事として捉え、小さなことからでも行動していくことが重要です。小さな力が集まれば大きな力となり、確実に変化はおこると思っています。

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