Girls Going Tech in 東京「ロボットの世界を知ろう」開催報告
2025年8月、ガールスカウト日本連盟は東京科学大学 岩附教授のご協力をいただき、女子のためのSTEAM教育*事業「Girls Going Tech in 東京」を開催しました。
*STEAM教育:Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを統合的に学習する、理数教育に創造性教育を加えた教育概念
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|実施日|2025年8月16日(土) |
8都県からジュニア(小学4年生から6年生)36人が参加しました。岩附信行教授が開発したカリキュラムによって、ロボットの脚の動きについて学び、モーター1個で動く、ロボットの足の動きのメカニズムを製作しました。
現役の東京科学大学の学生であるガールスカウトのリーダーがボランティアスタッフとして参加しました!心強いです。

先生、実は芸術家!
サインペンで風景画を描く岩附先生は、描き方を解説してくださいました。コツは、薄い色から描くこと。
大抵薄い空の色から描いたりするので、そばで見ている人は最初何を描いているのかわかりません。それが、だんだんと形に表れてきます。
これは、手順や完成予想を頭の中に思い描いていないとできない技です。
また、精巧なドールハウスも紹介してくださいました。ドールハウスの中にある本物と同じ機能を持つ、小さな机やいす、扉に、子どもたちは見入ります。
先生は多彩な特技の一面をご紹介くださいました。
工学部は女子大歓迎!
工学部では女子学生が大活躍しています。
ロボットの設計、製作したロボットのテスト、それら成果の発表と、学びは多岐にわたります。特に国際会議での発表は華々しく、積極的に世界にアピールする頼もしい女子学生たちの姿が紹介されました。

ロボットを2足歩行させるには?
歩行ってなんでしょう?
歩行には、動かす力と支える力が必要です。
どうやったらロボットが進むのか、支点=リンクの数と動力=モーターの数について、考えていきました。
3本以上の足があれば、体を支えるのは簡単です。
しかし、2本の足で、上半身を支えながら前に進むというのはとても難しい。片方のをあげた途端にぐらつきます。
だから、動物型ロボットを作るのは、実はとても簡単。人間型ロボットを作るのはとっても難しいんです。
先生は、体を支える脚、動く足が倒れないように支点と関節を図示しました。図形でできているので、計算式で、必要なものが求められそうです。
次の画面では、関節の数と、モーターの数が計算式で算出できました。中学、高校で習う方程式を、☆のマークや△の記号を使って、分かりやすく表してくださいました。
さらに次へ進むと、支点とリンクがアニメーションになって、求めた計算の解通りに、動きました!
計算を実現させると、歩行ロボットが動くことが分かりました。
これを方眼紙と厚紙で表現したのが、今回製作する歩行ロボット脚機構です。
歩行のメカニズムを視覚的に理解する模型です。
「さあ。作っていきましょう。簡単です。40分あればできます」
と先生は軽やかに言い、制作がスタートしました。
「まずは材料を切り出して。その次に、テキストの写真にある通り、順番にパーツを留めていきましょう。順番が大事ですよ。」
普段の活動でも手を使ってなにかをつくることは多く、みんな工作は大好き。
手先の器用さを生かして、ボール紙でできた足のパーツにハトメを合わせ持ち、ハトメパンチをぐっと押して取り付けます。
材料の切り出しは簡単ですが、小さなハトメを紙の上下に置いて、噛み合うように固定しながら、ハトメパンチという握力の要る道具を使って留める作業は、手がもう一つ欲しくなる作業!
ハトメを固く留めると当然重ねた厚紙は動きが無くなります。
適度な力でハトメパンチを押さえて軽く留めると、脚の各関節のパーツがぶらぶらと動いて、スムーズに操作ができます。この匙加減は何度か組み立てて行く中で感覚がつかめてきます。
なかなか難しくて、机からハトメが転がり出したり、ハトメがつぶれたり、あちこちでやり直しが発生します。みんな、がんばって!
「すべての関節を留めましょう。部品の向きを合わせる。リンクの上下に注意。
どれとどれがつながっているのか。どれが上なのか。見本をよく見て、留めていきましょう。」

パーツの取付順も大切です。
ぱっと手に取ったパーツから取り付ける人もいますが、ここで、マニュアルを読み返して正しい順序を確かめることが重要です。
順序が違うと動きがけん制されて(骨にあたるパーツとそれらをつなげる筋肉にあたるパーツが食い違い、動きがロックされる)、脚の模型はスムーズに歩行しません。
またパーツの向きにも気を使います。例えばつま先がかかとの方向を向いていると、脚の動きが変な形になってしまうのです。
この作業も、あちこちでやり直し、奮闘する姿が見られました。
隣の子が取り付ける順番が分からなくて困っているときに、先に「できた!」と隣の子が教えてくれました。
うまく動いたとき二人とも嬉しくて、思わず先生のもとに走って見せに行く姿はほほえましく、こちらも嬉しくなってしまいます。
自然に輪になって一緒に制作を始めるグループもいました。
一人で黙々と作業を進め、うまく動く達成感もあるけれど、みんなで試行錯誤しながら進めたり、私のは合ってるかな?と周りのロボットと見比べながら作業をシェアするのも楽しい経験です。
そして、ついに脚のメカができました。
自分の手でハンドルを回すと、脚が歩く動きをします。
先生がシミュレーションしたのと一緒です。みんなできあがりに嬉しそうです。
先生は構造を説明し、今制作したメカの角度を変えると、大股で歩くようになることを教えてくれました。
角度から歩幅を計算できることを教えました。
実際にいくつもロボットを作って試行錯誤するより先に、値を代入すれば計算式で動きが予測できることも学びました。
ガールスカウト日本連盟の新(あたらし)理事は「参加者の多くから「科学が楽しい」「もっとやってみたい」と声があがり、プログラムが子どもたちの「探究心」や「創造力」、「将来の夢」に少なからずつながったことも確認できました。」と評し、こどもたちには「今日学んだことを書き留めたり、いろいろな人にぜひ伝えたりしてほしいと思います。」とお話されました。
参加者の感想ではモーターの計算について言及した人が多く、計算で物事を予測できるという点に驚きと発見があったようでした。
脚が体を支えながら体を前に進めているという、繊細で複雑な説明を受けて、「重さに耐える」という点が心に残った参加者、介護ロボットへの探求心を書き留める参加者もいました。
脚のモデルを作る実習を通して、2本脚を作りたい、腕を作りたい、と発展を望む感想が多数挙がりました。
学校とはまた違ったアプローチで、ものづくりのおもしろさや、算数、理科が役立つ様子を実感できる充実した3時間でした。
参加者の声
「あしのメカをつくったことが楽しかった」
「ハトメパンチでハトメを紙につけるとき しっぱいしたことが心に残った。」
「モーターが3つ必要なのに、工夫して1つにかえられることが驚きました。」
「今日一番心に残ったことは、モーターの数を計算で求められたことです。」
「今回は片足だったけど、両足をつくってみたい。」
「家でうでを作ってみたいと思った。」
「ロボット作りは、楽しいなと感じた。」
ガールスカウトのSTEAM教育
理数分野の職に就く女性の割合が低いことから、幼いころから専門的に学べる機会を設け、好奇心を持続する機会をつくるために、ガールスカウトではSTEAM教育プログラムを開始しています。
2進法、ロボットを切り口としたコンピューターの仕組み、半導体技術、サイバーセキュリティについて、企業と大学の協力を得ながら学びを広げています。
以前の活動報告より
2025年4月1日 Chip Camp in 奈良
2025年3月2日 Girls Going Tech in 奈良
Instagramで紹介!Girls Going Tech











