Chip Camp in 東京開催報告〈part2〉
2026年2月、ガールスカウト日本連盟はマイクロン財団の支援、広島大学の協力を受けて、女子のためのSTEAM教育*事業「Chip Camp in 東京」を開催しました。
*STEAM教育:Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを統合的に学習する、理数教育に創造性教育を加えた教育概念。
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実施日|2026年2月21日-2月23日 |
6回目の開催となる今回は、14都府県から53人の中学生と高校1年生が参加しました。本ブログでは、3日間の豊富なプログラムの中から特徴的な活動にハイライトし、3回に分けて報告します。

コンピュータの世界 ぶつからない車を作ってみよう!
2日目、広島大学の川田教授によるセッションでは、コンピュータの世界を知りました。
半導体メモリチップが記憶をどう格納するかという解説でも登場した「0と1」。
これが、コンピュータで物を動かすカギとなっているようです。
人は手を使って10まで数えます。これは手の指の数が10本あるからだと言われています。
一方でコンピュータの世界では、すべての数を0と1だけで表します。2つ集まると桁があがります。
この数え方を活用して、コンピュータに『こういう時は、こんな動きをして!』という命令を出すことができます。
講義では続けて、論理演算子「NOT」「OR」「AND」がレクチャーされ、0と1を使って、命令の条件を出す仕組みを学びました。
「みんなで人間計算機になってみよう」
参加者はグループに分かれて床の上の回路に立ち、一人ひとりが「NOT」「OR」「AND」の役割をもちます。
出題されたら数字と自分の役割に従って、計算結果を次の人に知らせ、回路の最後で答え合わせをします。
はじめはゆっくりだった計算が、だんだんと速くなっていきます。
「大学生チームと対戦しよう!」「役割を交代しよう!」
先生の声がけで役割が入れ替わり、すべての演算子を理解し、自分のものになっていきます。
チーム対抗で計算の正確さとスピードを競う、エキサイティングなアクティビティでした。


次は、ラズベリーパイ ピコというマイクロコンピュータと資材を組み合わせて、ぶつからない車を作ります。
コンピュータを搭載する手前まで、車を組み立てていきます。複雑な配線も、配線図を見ながら慎重に進めていきます。
組み立てが終わったら、ぶつからない車に必要な機能を確認します。
障害物を発見する目となるセンサーが必要であり、ブレーキの指示を出す脳をコンピュータが担います。そして車を動かす手足としてモーターとタイヤがあることを認識します。
続いて、どんな手順を与えたら、車ロボットは自分で判断して動いたり止まったりできるのかを書きおこします。学生の皆さんのサポートのもと、条件分岐のフローチャートが完成しました。
ここまできたらプログラム設計はできたも同然!
フローチャート通りに、プログラミングの命令文を書き、コンピュータに読み込ませて、車に搭載すれば、ぶつからない車の完成です。
想定した通り車は走行し、進路の少し前に足を出すと、センサーが反応して停止しました。




広島大学の学生に聞く!進路選択
「今の進路を選んだ理由はなんですか?」
参加者の質問に、広島大学 大学院 人間社会科学研究科 教育科学専攻の大学院生や広島大学 教育学部 技術情報教育学プログラムの学部生が、今の学部や研究分野を選択した背景を話してくださいました。
全員がはじめから進路を決めていたわけではなく、好きなものが変わったり、学校を調べたり、勉強を進めていくにつれて自分に合っていることを感じた、というお話があり、参加者への励ましになりました。
セッションが終わってからも、教授や学生の皆さんに個別に話しに行く参加者の姿が見られました。それぞれに将来の糧になった事でしょう!
先生からお話と映像で紹介いただいた、広島大学 教育学部 技術情報教育学プログラムの授業の内容は、とてもクリエイティブです。「工夫と創造のモノづくり」「ICT社会の人づくり」「総合的なモノづくり」を柱として、多様な材料と道具を使って、時には企業と連携し、さまざまなシステムや装置を生み出しています。
「人間の成長発達に技術を勉強することが必要だから。」と、現代の最新の技術課程の教育方針が紹介されました。


「未来の学校」を考える
「未来の学校」についてグループで話し合い、発表しました。
ここではたくさんのアイデアを出し、それらを良質なアイデアにまとめ上げるアイデアソンの手法が取り入れられました。
皆さんの声の中には、もうすぐ世の中に誕生しそうなアイデアもあり、盛り上がりました。
先生からは、「逆の発想をしてみよう」というお話がありました。
例えば、人は相手が弱い存在だと感じると、自然と助けたくなるものです。
この特性を活かし、あえて“弱いゴミ箱ロボット”を作って設置したところ、人々がそのロボットを気遣い、結果としてゴミを進んで捨てるようになったという報告があるそうです。
一般的にロボットは「何でもできる強い存在」というイメージがありますが、その逆を発想することで、思いがけない効果が生まれます。
このように、物事をあえて逆の視点から考えることの重要性を学びました。
また、ゴミ捨てを促す工夫として「Fun Theory(楽しさによる動機付け)」についても紹介されました。
これは、人は「おもしろいこと」や「楽しいこと」に対して積極的に行動するという特性を活かした仕組みです。
先生の研究では、ゴミ箱にゴミを入れると「ありがとう」と声を発するロボットを開発したところ、小学生がその反応を楽しみ、進んでゴミを拾うようになるという結果が得られたそうです。
「みんなから挙がったアイデアで言えば、後ろの黒板に子どもが笑うようなオヤジギャグが出てきて先生が助けてくれる、とかね。
誰かが苦痛になるシステムではなく、誰かを楽しませるシステムをつくっていきましょう!」


part3に続く











