“誰を待つまでもなく、自分たちの手で” 女性がその可能性を最大限に発揮できる社会環境をつくりあげていく

思いと願い

ガールスカウト運動が日本で始まって99年。
戦後の荒廃のなか、女性たち自らが立ち上がり運動を再開して71年。

私たちガールスカウトのこれからの挑戦は、
「女性がその可能性を最大限に発揮できる社会環境をつくりあげていく」ことです。
そのために、少女と女性の可能性を伸ばすことを妨げる問題に対して声を上げ、社会に変化をもたらす行動を積極的におこない、貢献していきます。

意見を発言する少女の画像

3月8日は国際女性デー

1908年にアメリカ、ニューヨークで行われた婦人参政権を要求するデモを起源とし、女性への差別撤廃と地位向上を訴え、1975年の国際婦人年に国連が制定しました。
ガールスカウトは世界最大の少女と女性のための社会教育団体であり、運動の初期から、女性の自立と社会参画をはぐくむ活動をしています。
なぜ女性だけでこの運動が始まり、そして今も続いているのでしょうか。

はじまりは、少女たちの声

1909年、当時イギリスで人気を高めていたボーイスカウト。少年たちに野外活動を通じて自立心やリーダーシップ、協調性を身に付けさせようと始まった運動です。その創始者、ロバート ベーデン-ポウエル(B-P)の前に突如、少女たちが押しかけ、「“Something for Girls, too!” (私たちも活動したい!)」と訴えました。
それを聞いたB-Pは、少女には少女に合ったやり方があり、運営は女性に任せるべきと考え、ガールスカウトをつくることにしました。しかし当時のイギリスはビクトリア朝的価値観の影響を受けていたため、少女たちの「飛び跳ねたい」という希望とは異なり、当初は良妻賢母となるための品性を訓育することが重視されました。

1908年イギリスの少女たち
1908年ロンドンのクリスタルパレスでの大会に参加した少女たち

第一次世界大戦以降、女性は積極的に外に出て銃後活動(注)に参加したため、社会の女性に対する考え方も変化しました。ガールスカウトも多様な活動に取り組み、社会的に注目され始めます。1916年のB-Pの文章をみると「妻・母」「女らしさ」の理念から、「市民」としての役割が強調されるようになります。運動を引き継ぎ拡大したB-Pの妻オレブは、女性が単に夫に従属するものでなく、パートナーである点を強調し、女性の社会参加と自信のある女性を育成することを重視しました。
(注)銃後とは戦場の後方、戦場ではない一般市民のいる場所のことを指します。戦争に行く男性の代わりに女性が労働力として重視されました。

海を渡ったガールスカウト

日本には1920 年(大正 9 年)にイギリスから伝わり「日本女子補導団」という名称で全国各地へと広がりました。1925 年の「日本女子補導団の会報」創刊号において、総裁の林富美子は「我が国の現状は、知育は盛んであるが、訓育に乏しい。この現状において女子補導団は人格を養成し品性の涵養につとめ、よい環境をつくり他に広げることにより、国家社会によい影響を与えるそのことが国民の幸福を増進することになる」と述べています。当時としては新しい教育方法である班活動や児童中心の活動を取り入れました。

1920年代のガールスカウトの訓練の写真
1920年代 日本女子補導団 看護法の訓練

女性の社会参画を目指して再開したガールスカウト

日本女子補導団は第二次世界大戦を受けて解散を余儀なくされたものの、1947 年「だれの手を待つわけでもなくわたしたちの手で」を合言葉に、女性たちは再び立ち上がります。生きることさえ困難な社会情勢の中、戦後のガールスカウトは、少女・女性のみの活動によって女性の自主性を養い、地位向上を求める民主的な女性団体として動き始めたのです。
戦前と大きく変わり、教育、実業、科学、政治など新しい分野に参加できるように多くの機会を与え、男性との対等な関係と互いへの尊敬を重視し、「男女はそれぞれの性質を持った異なるものであるが、人格としては平等である」との認識を促す教育をおこないました。
日本では現在まで130 万人がガールスカウト活動を経験し、多くの少女と女性の人生に影響を与えてきました。

1949年復活したガールスカウト
1949年ガールスカウトを復活させた女性たち

社会に変化をもたらすガールスカウト

ガールスカウト運動が始まって100 年、社会は大きく変化しました。その中で、ガールスカウトは変わらず「自己を確立すること」「他の人のために働くことに喜びを見いだす」ことができる人材育成を進めています。その一方で「社会に変化をもたらす行動を起こす」ことを掲げています。

今ほど、少女たちが置かれている環境が世界規模で目まぐるしく変貌する時代はありません。技術革新や発展する世界のスピードに私たちの生活は大きく巻き込まれ、2030年には現在ある仕事の50%がなくなるとも予測されています。学校や教育のあり方さえも変わっていく中で、私たちは、なりたい自分になり、自分の未来を自分で築きあげられる少女をはぐくんでいかなければなりません。

高校生のガールスカウトたち
課題に対するアクションの企画を考える高校生ガールスカウトたち

選択肢の多い社会の中で、ガールスカウトは少女たちが本来持つさまざまな可能性を引き出し、自分の人生の生き方に影響を与える決断を自分で下せる力(自分の人生のリーダーシップ)を育成するための機会を提供しています。
近年では特に、環境問題や防災・減災への取り組み、自己肯定感を高めることで前向きになる力をつけるプログラム、女性への差別と暴力を防ぐためのプログラムなど、現代的な課題にも取り組み、時代を見据えた女性を育てることに力を入れています。
少女と女性自らが社会に対し声をあげること(アドボカシー)と、変化の担い手(チェンジ・エージェント)になる少女の育成に力を入れているのです。

外国人と日本人のガールスカウト
外国人と共に自然散策に出発。コミュニケーション力を身に付ける

ガールスカウト日本連盟 活動基本方針
ガールスカウトは、
少女と女性の視点に立って、より幸せな社会と未来の実現を目指し、
リーダーシップを発揮できる人材を育成するとともに、
社会に変化をもたらすチェンジ・エージェントとして行動します。

飛び跳ねるガールスカウトたち