ジェンダー平等の実現に向けて 中学生の声「私の誇り」

わたしはガールスカウト#自己肯定感,SDG5,SDGs,わたしの声とみんなの声,ジェンダー平等の実現,ロールモデル,子どものための人権教育

ジェンダーについて、神奈川県 高校1年生のガールスカウト(当時中学3年生)の作文をご紹介します。
(※表記は原文のまま)


私の誇り

カナダでスケボーをしていたときの彼女

「私の将来の夢は総理大臣になる事なんだー。」幼かった私は日本で一番有名な人は総理大臣だと思っていて、目立ちたがりな性格から総理大臣になりたかった。しかし、「それは無理だよ。だってお前女じゃん、女が総理大臣なんて聞いた事ないよ。」同級生の男の子に言われた一言だ。私は女だからなれないという言葉にすごく侮辱された気がした。

最近ネットを見ていたら、あるランキングが目に入った。149カ国中110位。これは日本の男女格差指数の順位だ。私はこのランキングを見た時深い憤りを感じたとともに、ある意味納得した。なぜならこの現状は数字だけではなく、日常生活にありふれているからだ。私がテレビを見ていると食器用洗剤のCMは全て女性が食器を洗っている、CMだけではない、ドラマや映画の中で家事をしているのはいつも女性なのだ。私の母も家事は全部やっている。「女性は家事、男は仕事」それが当たり前であり、私達はその状況になにも疑問を抱いていない。これこそが日本の男女格差を強く裏付ける証拠である。

日本には、女だから、男だからという社会のしくみが非常に強い。私は過去に一年間カナダに住んでいた。当時は女の子の友達に誘われてスケートボードを習っていた。時にはみんなでテレビゲームをしたり、バスケをしたり、男女問わず色々な遊びをしていた。しかし、帰国後私は一切スケボーをやらなくなった。日本の学校生活で私は、女の子だからという言葉に度々縛られた。スケボーなんて男子がやる事で女子はやらない。それが当たり前と言われてそれに従った。けど、性別を理由に行動を制限される事は私にとって苦痛だった。私はカナダと日本、両国で学校生活を過ごして、日本のこの、女らしく、男らしくという言葉の定義は人が作り出したものであり、逆に言えば変えられるはずだと考えた。しかしそれを難しくさせているのが私達がこの現状を、あたり前の事、自然の事として問題意識をもたないままであるからだ。幼い子供でさえ。

私は今ガールスカウトという団体に所属している。ガールスカウトとは人種、国籍、宗教の差別なく、社会貢献する自立した女性の育成を目的とする団体だ。私はガールスカウトに入って性別に縛られて生きる事をやめた。私には性別によって差別されず生きる権利がある事を知った。最近は、スケボーもまたやり始めた。

ガールスカウトを通して私は、世界の女性差別を無くす活動をしている。女性は男性に比べて経済的に不利な状況になりやすく、世界の中で実に三人に一人が人生でなんらかの形でぼう力を受けている。貧しい家庭に生まれた少女の多くは学校に行けず、一日で三万の女の子が望まない結婚をさせられている。私はこの活動の中で様々な人の苦い思いを見てきた。「女だから」という事実だけで、人生を制限される。これほど悲しい事は無いと思う。

私の夢は、もう総理大臣になる事では無い。女性が総理大臣になれるように日本を変えていくのが私の夢だ。政治、経済に女性も男性と同じように参加でき、男性も家事をして、女性も仕事をして、性別という殻に閉じこもらないで、みんながその殻をとびだせるような日本を作っていきたい。最後に、私は自分が女性である事が誇りである。これは大人になっても変わる事のない私の強い意思だ。

 


 

彼女は、幼い頃から自分の夢や好きなことに対し、周りから否定される経験をもち、スケボーをやらなくなるなどの経験をもっていました。しかし、「私はガールスカウトに入って性別に縛られて生きることをやめた。私には性別によって差別されず生きる権利があることを知った。」と言っています。
日常の中に多くある「女の子だから」というメッセージは、大人だけでなく子ども同士の中にもあります。もし、自分の権利について知る機会がなければ、諦めていたかもしれないことも「知る」ことにより、より明確な目標をもつことができたのです。「私の将来の夢は総理大臣になる事なんだー。」から、「私の夢は、もう総理大臣になることでは無い。女性が総理大臣になれるように日本を変えていくのが私の夢だ。」という明確なビジョンを描いています。
自分の身の回りの現状、世界の現状にまで目を向ける機会をもつことで、自分自身や国の未来を考えられるようになり、これまで以上に夢に向かって行動することができます。
ガールスカウトでは、年代に応じたさまざまなプログラムを通して、視野を広げ、生きていくうえで必要な自分の意見をしっかり伝える力や、リーダーシップやフォロワーシップをはぐくみ、世界市民を育てています。

ガールスカウト 部門と育成目標

作文を書いた高校生は、中学生のときにガールスカウトのプログラムの一つである「わたしの声 と みんなの声」プログラムに参加しました。「わたしの声 と みんなの声」プログラムとは、ガールガイド・ガールスカウト世界連盟とUN Womenが協働し作成したVoices Against Violence(みんなで作る差別と暴力のない世界)の日本でのプログラムの名称です。子どものための人権教育リーダー養成を受講すると小学校1年生から25歳までを対象に体験型プログラムを実施できます。

「わたしの声 と みんなの声」プログラム


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