国際女性デーイベント 「私たちの世界、私たちの平等な未来」実施レポート(その3)

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3月5日(土)に実施した国際女性デー オンラインイベント。「国際女性デー」を盛り上げ、女性のエンパワーメントとジェンダー平等の実現に向けて、「環境問題」「防災」「健康」の3つのテーマでプログラムを実施しました。実施レポートの第3回目です。

第3部 「健康とジェンダー」

2021年にガールスカウト日本連盟は、「すべての少女と女性が自分らしく生きられる社会」を目指して、世界に比べて大きく遅れている日本の「女性の健康に関する正しい知識や理解」を促進するため、女子高校生を対象にアンケート調査をおこないました。この調査は同様の目的を持つ日本女性財団と連携しておこないました。

第3部では、調査報告の結果を高校生のガールスカウト会員が発表し、その後、日本女性財団代表理事の対馬ルリ子さんのお話しをうかがいました。

「ジェンダー」に関する女子高校生調査報告の発表

2人の高校生が、「ジェンダー」に関する女子高校生調査報告書2021の中から、下記について報告しました。

・日本の性教育の現状
・月経
・性的同意年齢
・性の健康

発表した高校生たちが大切だと思っていること

*自分の体をもっと知ろう。自分の体と上手に付き合い、生活しやすくするためにもまず病院を受診し相談してみよう。ピルを服用するなど解決することがあるかもしれません。

*性的同意年齢13歳はとても低いと感じます。性的同意年齢の引き上げのためには、高校生自身の危機感はもちろん、同時に大人の興味関心そして危機感が重要になってくると考えます。刑法の改正や私たちの安全のために性的同意年齢についてもっと知ってほしいし、そのために土台となる日本の性教育も変化するべきだと考えました。

※今回発表した調査報告書は、3月中に、ガールスカウト日本連盟公式ホームページで公開します。

講演「あなたらしい人生を~現代女性の心とからだの健康」トピックス

続いて、対馬先生のお話をうかがいました。

  • 健康とは、病気がない状態ということではなく、ソーシャルウェルビーイングといって体も心も毎日の生活や人間関係、社会におけるその人の存在としても、生き生きとして完全に良好な状態を指す。
  • 現代女性のライフスタイルの変化により、昔と違う健康問題が増えている。自分の体について適切な知識を持ち、健康のことを知り、やりたいことを人生の中で考えていくことが大切である。
  • 女性は女性ホルモンの動きで排卵と月経を毎月繰り返すことで、さまざまな不調が起き、体調やメンタルに影響を受ける。症状のひどいものを月経前症候群と呼び、治療の対象となる。
  • 子宮頸がんはウイルス感染で起きる病気で、HPVワクチンで予防できるが日本では8年間ワクチン接種が止まってしまった。女の子の病気を予防できるのに社会は無関心だった。これもジェンダーの不平等といえるかもしれない。
  • 低用量ピル(ホルモンの薬)を服用すると、月経痛・月経不順・月経前症状が明らかに改善される。ピルを飲むことで自分の体の健康を自分で管理する意識を持てるようになる。
  • 体への暴力だけでなく精神的、性的な暴力というのもある。大声で脅すとか、馬鹿にしたり、行動を監視したり、あるいはセックスを強要したり避妊に協力しなかったりということは、すべて暴力で罪である。
  • さまざまな生き方、さまざまな性のあり方がある。それを互いに認め合い尊重し合い大事にしようという考え方が新しいセクシャルヘルス。どんな人も自分が自分であるということを決める権利があり、同時に他人も同じ権利を持っていることを尊重しあうことが大事。
  • 女の子はぜひ、体についてなんでも相談できる相手として婦人科のかかりつけ医を持ってほしい。そして自分のことは自分で決められる力を持つために、包括的性教育が大事である。それが暴力や差別を防ぐ態度をはぐくむ。

高校生との質疑応答

「ピルに副作用はないのか?」という質問には、ピルは長く飲むことを前提に1960年に開発され、長年使われている薬なので、副作用はほぼなくなっているという回答がありました。

「高校生は産婦人科に行きにくい」という質問には、「妊娠したら来るところ」と思わず、10代から気軽に来てほしいこと、産婦人科医だけでなく助産師も女性の健康のプロであること、最初はちょっと相談に来るだけでも構わないことをお話しくださいました。

ワークショップ

その後、高校生の参加者によるワークショップがおこなわれ、報告と講演の内容を基に、それぞれのグループで話し合いました。
「初めて知ったことを友達にも伝えたい」「自分の健康に必要なことを自分から情報を得ていくことが大事だと思った」「次の年代の子たちにも伝えたい」といった意見が聞かれました。

視聴者・参加者の感想

  • 調査発表で特に性的同意年齢について、わかっていると思っていたけど全然わかっていなかったことに気が付きました。
  • 今の性教育の現状と子どもたちが知っておかなければいけないことがかけ離れているという状況を知ることができてよかった。
  • より多くの中高生、ユース世代に今回の内容を知ってほしい。
  • 若い世代から性について考えて行動することが性犯罪の減少、性教育のあり方を見直す契機になると思います。
  • 現代の女性はピルや、ワクチンを賢く使っていくことで、生きやすくなることを知りました。
  • 自分の人生をどう生きていくかは自分が決めるべきことであり、多様な選択肢が自分の前にあるのは幸せなことですが、選択をするにあたって、信頼できる人に相談に乗ってもらったり、自分とは違う立場の人と意見を交わしたりすることも大切だと気付きました。

報告と司会をした高校生とユース年代の感想

  • 先生の話をうかがって学ぶことがたくさんありました。自分だけでじゃなく親子で学ぶのも大事だなと思いました。
  • 今回短い期間で発表原稿を考えたりスライドを作成したりととても大変でしたが、身のある体験が出来ました。普段絶対話すことも、会うこともない人たちと会話が出来て、ジェンダーについて一緒に考えられて良かったです!
  • 日常の中で意識しづらい課題であると思いますが、専門家の方のお話を聞くことでより自分事として意識ができました。視聴者の方も不安ではなく希望を抱くことができる時間になっていれば良いなと思います。

ガールスカウトではジェンダー平等実現を目指し、学習プログラムを提供しています。

SDGs 目標5 ジェンダー平等を実現しよう

これまでのジェンダーに関する調査報告書