「そなえよ つねに」を実践するために

わたしたちの活動#自然とともに,SDG5,SDGs,ジェンダー平等の実現,防災・減災プロジェクト

2022 KIZUNA Day* 特別イベント「親子防災科学教室」報告
国立研究開発法人防災科学技術研究所** 公益社団法人ガールスカウト日本連盟 共催事業

自然災害が起こったとき、紛争が起こったとき、私たちはその場所にいる人の安全を願います。その場所に知っている人がいたら、その人がどうしているのかとても心配になります。
ガールスカウトでは、日本各地、世界中にそのように思い合える仲間がいて、活動をとおして実際に知り合う機会がたくさんあります。もし災害にあったときに、遠くにいる人たちが自分たちに思いを寄せてくれることはとても力になります。
そんな世界のガールスカウトのモットーは「そなえよつねに」。
もしかしたら起こるかもしれない災害に備えるために、KIZUNA Day特別イベントとして、ジュニア(小学校高学年)部門のガールスカウトを対象に「親子防災科学教室」を昨年に引き続きオンラインで開催しました。
実施日:3月12日(土)

参加した子どもたちのミッションは「今日学んだことを、お家の人、お友達に伝える」です。
防災科学技術研究所の博士たちから
・自然災害とはなにか
・日本に多い災害はなにか
・災害が起こったら私達に何ができるか
を学びました。

Dr. ナダレンジャー 防災科学実験ショー

雪崩について研究をしているDr. ナダレンジャーによる実験!
雪崩はなぜあんなにも大きな力を持っているのか?
ミニチュア雪崩を観察。その仕組みを知ることで、雪崩の力を知りました。

このほか、液状化現象や、地震の揺れについて、災害の仕組みを実験で再現。

Dr.ナダレンジャーからのメッセージは!
「楽しみながら勉強してみると本質が見えてくる!」そうすれば、次に自分が何をすべきかを考え
ることができる!だから、いろいろ試して楽しんで!

このほか、「どうしたら災害から助かる?」との質問に、
「体力 知力 優しい心」が大切
逃げるための 「体力」
より早く判断するための 「知力」
「人に優しくする気持ち」 協力できる人のほうが生きのびる可能性が高い!
とアドバイスがありました。

 

次に、鈴木比奈子博士からのレクチャーです。

鈴木博士は自然地理学、歴史災害記録からみる日本の自然災害の研究から、ガールスカウトを始め女の子たちへのメッセージとアドバイスがありました。

防災って何だろう

日本ではどんな自然災害があるか?
・人間社会に大きな影響があるもの = 災害
プチ情報:「自然現象」と「災害」は分けて考えられている。例えば一つの自然現象でも「地震の名前」と「災害の名前」がある。
例:2011年3月11日に発生した地震の名前「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」、それによって起きた災害の名前は「東日本大震災」。

「これまでの災害の記録から見てみると、地震はいつでも起きる一方で、風水害は6〜9月に多いことがわかっている。もし、6~9月の風水害が起こったときに地震が起こったらどうなるでしょうか?」との問いかけに、「熱中症が心配」「電気がなくて、冷蔵庫が使えないと物が腐る」などなど参加者はチャットで積極的に答えました。

画像提供:防災科学技術研究所

では、災害から生き残るためにはどうしたらよいか?
災害はいつ起こるかわからないから「そなえよつねに」が大切。
どのように備えるのかを、段階に分け紹介がありました。
・0次のそなえ(いつも)
・1次のそなえ(避難する時に持っていくもの(遊び道具やあると落ち着くものも大切))
・2次のそなえ(家のそなえ)
大切なこと、自分ができることは何だろう? と考えてみることが大切で、過去の災害でどんなことが起こったか忘れずに、そこから学ぶことが大切。

これまでの災害から分かったことは、
身を守るために
・学校で災害にあったら? 避難訓練の通りにする
・出かけているときは 避難誘導に従おう!

外にいるときに安全な場所は?
・水の災害では 高いところ、丈夫なところ
・竜巻には 鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物

避難所では
・「危ない」を避ける
・服装は、できるだけ男女の見分けがつかないものの方が良い
・ひとりでは行動しない
・嫌なことは、いやといっていい(プライベートゾーン***は見られたり触られたりされてはいけないこと)
・悩みは打ち明けよう

会場からの質問タイム!

Q. 防災バッグはどんなものがいいですか?
A. 持って走れる大きさ・重さのもの。両手があくもの。

Q. 避難所での生活は、女性、子どもを守るように変わってきていますか?
A. 2011年3月16日政府から「女性のリーダーを避難所におく」ように通達が出ました。だんだん変わってきていますが、避難所にいるみんなの声が重要なので、声を届けてください。

Q. 避難所に行った方が良いですか?
A. 避難所だけが安全な場所ではありません。自分の家が安全なときもあります。状況をよくみてください!

Q. 防犯ブザーや笛はあるといいですか?
A. とても役立つと思います!

Q. 琵琶湖でも津波は起こりますか?
A. 滋賀県の計算によると最大4.9Mくるそうです。長浜市には、平安時代に津波が起こった痕跡があります。

Q. 体の不自由な方、高齢者は家にいた方がいいですか?
A. 家の状況にもよるので、日頃からハザードマップや家の状況(どんな建物か)をチェックしたり、災害が起こったときの家の状況を見たりするようにしてください。

参加したガールスカウトから

  • 今日見た実験をぜひ家でもやってみたい!
  • 災害について備えたり、お友達に伝えたりしていきたい
  • 避難所での生活について知ることができてよかった
  • 防災グッズ(0次、1次、2次のそなえ)をそろえたら災害のときに安全だなあと思った
  • 雪崩や地震が本当におこったら怖いと思った

参加した保護者から

  • あっという間に90分が過ぎました
  • 女性と災害、防災に関する内容は初めてだったので勉強になりました
  • 自然災害の仕組みがとてもわかりやすかったことと、万が一の備えについて深く学べたことが良かったです。なかでも、段階的な備え方は即実践してみようと思いました。

そなえよつねに

「そなえよつねに」は世界中のガールスカウトのモットーです。
自分に起きる不測の事態にも
お友達に起きる不測の事態にも
よりよくなれるよう、技も心もそなえよつねに。
「そなえよつねに」を実践するための「親子防災科学教室」となりました。


KIZUNA Day*
東日本大震災の日(2011年(平成23年)3月11日)を、防災の意識や技術を高めるとともに、震災
の記憶や復興への思いを風化させない日として、3月11日を「KIZUNA Day」と2014年にガールス
カウト日本連盟が制定しました。
国立研究開発法人防災科学技術研究所** 
身の回りにたくさんある自然災害とそれを事前に防ぐ方法や被害を小さくする方法などをについて研究している。
オールハザード、オールフェイズ(すべての自然災害、すべてのステージ)を研究対象にしている)。
プライベートゾーン***
プライベートゾーンとは、水着で隠れる部分と、口のことで、とても大切なところ。
参考:ガールスカウト日本連盟が提供するオンライン教材「わたしとみんな」ステップ04 自分の「カラダ」の守りかた