中学生・高校生のジェンダーに関する意識調査2024〈vol.2〉

わたしたちの活動#自己肯定感,SDG5,SDGs,ジェンダーに関する意識調査,ジェンダー平等の実現,子どものための人権教育

2025年6月12日、日本のジェンダーギャップ指数が118位(148カ国中)と発表されたことは記憶に新しいですが、ガールスカウト日本連盟においてもジェンダーに関する独自の調査をおこなっています。
※世界経済フォーラム(WEF)「Global Gender Gap Report 2025」より

2025年3月、ガールスカウト日本連盟は2024年に実施した『中学生・高校生のジェンダーに関する意識調査2024』報告書を公開しました。

「ジェンダーに関する意識調査」について、調査に込めた想いはvol.1で紹介しています。

 

調査結果

報告書作成メンバーが注目してほしい結果を抜粋して紹介します。

身近な生活に潜む隠れたカリキュラム

「女の子だから・男の子だから」という差別は、中学生よりも高校生の方が感じています。また、差別を感じる場所は学校だけでなく、家庭の割合も高いことが見て取れます。

調査メンバーは、学校の先生から不公平や不平等を感じることが多いだろうと考えていたので、家庭の割合も高いという結果は驚きでした。

学校では「重いものを運ぶのは男子だけで良いと言われた」という声が最も多く、オンラインミーティング参加者からは「男子は荷物運びなどの力仕事、女子は他の仕事。みんなの話を聞くまで特に疑問に思わなかった。」という声も聞かれました。
ある高校生は、重い荷物を運ぶとき「力持ちの人・力自慢集まれ!」と言い換えている先生がいると教えてくれ、前向きな時代の変化も起こっています。

家庭では「男なら泣くな」「女の子だから料理をして」「結婚するのが女性の幸福だと言われた」という声が聞かれました。
何気ない会話や態度から生まれる「隠れたカリキュラム」は、意外と多いのかもしれません。小さいころから繰り返され、無意識のうちに刷り込まれていたら…そう考えると怖さを感じます。

容姿に関する自信

容姿に関する基準や理想があふれ、美容整形が身近になっている社会の中で、中学生・高校生は自分の容姿に関してどのように感じているのでしょうか。

女子中学生・女子高校生の2人に1人以上、男子中学生・男子高校生の3人に2人以上は、自分の容姿に満足していないという結果となりました。
また、外見についてネガティブなことを言われたことがある中学生・高校生も35%前後おり、けして少なくありません。

写真や動画を撮り共有することが日常になった今、理想の容姿に近づきたいと思うのは自然かもしれません。しかし、「かわいい」「かっこいい」について友達同士で頻繁に会話したり、周囲からネガティブなことを言われたりする中で、理想の容姿とのギャップに苦しんでいないでしょうか。悩んでいないでしょうか。
「ルッキズム」という言葉もよく聞くようになりました。改めて、外見が全てではないことを伝えていくことが重要です。

※ルッキズムについて https://www.plan-international.jp/girlslab/lookism/

SNS・メディアとの付き合い方

現代の中学生・高校生にとって「インターネット」は、生まれた頃から当たり前のように身近な存在です。
2023年度の調査では「インターネットは安全である」と答えた中学生・高校生が30%前後だったのに対し、2024年度の調査結果では「安全・やや安全」と答えた生徒が50%以上を占める結果となりました。

この結果から「インターネット=安全」という認識が、中学生・高校生の中でたった1年間の間に高まってきていることが分かります。

また、多くの中学生・高校生にとって影響力があるメディアは「YouTube」ということも分かりました。
現在「YouTube」や各種メディアにはどのような情報があふれているでしょうか。それらの情報の信憑性はどれくらいあるのでしょうか。

今後どのような情報を、どのようなツールを使って子どもたちに向かって発信していくべきなのか、「イマドキの子どもたち」を取り巻く環境について、今一度目を向ける必要がありそうです。

これら以外にも興味深い結果が出ています。
全編はこちらから確認できますので、ぜひご覧ください。
ジェンダーに関する意識調査

調査結果を受けて

今回の調査結果から、学校だけでなく家庭にも「隠れたカリキュラム」が存在すること、家族・友達・身近な大人が発する何気ない言葉かけや態度から、中学生・高校生たちは大きな影響を受けていること、そしてそれは中学生・高校生の可能性を阻むほどのものであることが分かりました。

性別にとらわれず自由に生きるために、私たちは今どんなことができるでしょうか。

さまざまな個性や能力を認め合い、固定観念にとらわれず、個人の「自分らしさ」を尊重する、そんなよりよい社会の実現を目指して、この調査報告書が皆さんの行動を見直すきっかけとなってくれたら嬉しいです。


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