理系という選択肢は本当にハードルが高い!? GIRLS GOING TECH特別ワークショップを開催しました。

わたしたちの活動#STEAM,#自己肯定感,SDG5,ジェンダー平等の実現

ガールスカウト日本連盟は、マイクロン財団の協賛、広島大学の協力で、3月20日(土)、21日(日)の二日間にわたり、オンラインイベントGirls Going Tech特別ワークショップ『わたし×生活×テクノロジー ~わたしの将来に必要な知識を学ぼう~』を開催しました。
これからますますテクノロジーが発達していく社会の中で「女の子たちがやりたいことに挑戦できるようになってほしい!」という願いのもと、開催しました。
当日は52人の中学1年生と2年生(開催当時)が参加し、理系という選択肢についてワークショップおこないながら、自分たちの進路について、考える機会を作ることができました。二日間にわたるワークショップの内容をご紹介します。

1日目

「自分の将来について考えてみよう」
講師:則末優衣氏(マイクロンメモリジャパン合同会社 ファシリティーエンジニア)
令和2年7月 内閣府男女共同参画局発表の令和2年版男女共同参画白書によると、研究分野における男女共同参画において「女性の割合は緩やかな上昇傾向にあるが、16.6%と諸外国と比べて低く、研究者の大半を占める工学・理学分野の女性研究者割合が特に少ない。」という報告が出ています(2019年度調査)。なぜ女子が少ないのでしょうか? 将来の選択について、登壇者の経験にもとづきながらお話を伺いました。
則末氏:生活の中で、見方を変えると化学は日常の中で見つけることができます。例えば料理をするときに「これって理系?」と思い見直して考えれば、何が理系なのか区分することが難しいことがわかります。まずは、自分の興味をもっていることを考えて、好きなことを伸ばしていくことが大切だと思います。今の時点では将来何がしたいか決まっていないけれど、興味が持てるものを見つけるかもしれません。自分が何に興味があるのかを考えてみては。

参加者の感想
・いろいろと考えて悩んでいることにヒントをもらえました。
・今まで理科の成績が伸びず難しいのかなと思っていましたが、お話を聞いて、もうちょっと頑張ってみようかな、と思いました。

● Girls アイデアソン“技術で変える私たちの生活”:「アフターコロナの私たちの生活」
(*アイデアソンとはテーマについてマラソンのようにアイデアを出しあうワークショップのこと)
講師:川田 和男 准教授 (広島大学大学院人間社会科学研究科)

現在の暮らしの中にはコンピューターを使っている製品があふれています。コンピューターは、プログラムによって動いているのだということを、私たちの日常の動きに例えてわかりやすく説明していただきました。その後、身近な生活の中で自分たちにとっての課題を決め、その課題を解決するためには何をする必要があるのかを考える。というアイデアソンを、広島大学教育学部の学生の指導と協力を得ながらグループで話し合い、発表しました。
テーマ:「計測・制御システムを使って社会の問題を解決するシステムを考えよう!」

  1. 進め方
    ① 課題の問題点をあげよう!
    ② 課題の問題を解決するために、何をする必要があるか。
    ③ 何を「見つける」「はか(計・測・量る)」といいかまとめる。(原因となっていることを見つけるには何をはかればいいか)
    ④ 何を「動かす」「光らす」「温める」「冷やす」(どんな「音をだす」)かをまとめる。

参加者が考えた課題例と解決例
課題:料理するときに焦げてしまうこと。
解決:火加減やフライパンや具材の温度を測る。

課題:冷蔵庫で腐っているものの判断ができるようにしたい。
解決:ライトを点滅させる。スマホに通知が来る。声や音で知らせてくれる。

参加者の感想
課題を見つけて解決策を考えるために、仲間と意見をぶつけるのも楽しかったし、大学生が手伝ってくれたので助かりました。
川田先生:少女たちの経験を生かし、具体的にどうしたらよいのか考えて、うまくまとめられていました。


2日目

●LEDランタンを使ったワークショップ
部屋の照明を消すとライトがつく!IchigoJamマイコンを使って便利なライトを作ってみよう
講師:鈴木 裕之准教授(広島大学大学院人間社会科学研究科)
マイコンを使った課題解決
① 教育用マイコンIchigoJamプログラミング
② センサーライトを作ってみよう
2日目は、インターネット上でマイコンのプログラミングを試してみたり、事前に配布したLEDランタンのキットを作ってみたりしました。グループごとに大学生にわからないところを教えてもらいながら、完成させました。オンラインで説明を聞いて完成させるのは難しいところもありましたが、チャレンジしました。
参加者の感想
・センサーライトの実践をしてみて、うまくできなかったことも、先生や大学生の皆さんがアドバイスをしてくれたので、自分でもどうやったらうまくできるんだろうということを深く考えることができてよかった。
鈴木先生:一度でできなくても、自分にはできないと決めつけないでください。一つのことができるようになるのに時間がかかることは悪いことではありません。スポーツや芸術と同じで何回も繰り返してやることが大事です。


二日間のワークショップを終えて

堤 美帆氏(マイクロン財団):女性が理系分野に進むということがまだまだ世界的にはできていませんが、マイクロンでは女性が活躍できる環境整備に努力しているので、皆さんに理系を楽しんでもらいたいとワークショップをサポートしました。ワークショップで皆さんがやった作業は、実際にマイクロンの工場でしていることと同じです。基礎がわかっていると、大企業でやっていることにもつながっていくので、今日できないことや失敗があっても、あきらめずに楽しんで続けていってもらいたいと思います。
川田先生:二日間でやったことは高校や大学でも勉強するような内容だったので、大変だったと思います。皆さんの将来の選択肢に生かせてもらえたらよいと思います。
鈴木先生:理系分野はさまざまなものがあります。今、純粋な文系のみの分野は少なくなっていていろいろな分野が関わっています。今、理解できないことを恐れず、好きなことを続けていけばいつか開花するときが来ると思います。


二日間のワークショップについてのアンケートの結果

参加者にワークショップについてアンケートをしました。
イベントに参加した理由については保護者などから進められて参加した人が37.5%に対し、「進路へのヒントを得たい」「自分の将来に関することだと思ったから」など、と答えた人は28%でした。
「テクノロジーに興味があるから参加した」という人は31.3%でしたが、参加後に「テクノロジーに興味がわいた」と答えた人は94%になりました。「自分の将来の選択肢が広がったと思う」という回答も90%以上得ることができました。この結果から、最初は自分から進んで参加をしていなかった人や、特に内容に興味がなかった人にとっても、自分の将来の選択肢を広げることができるようになったようです。


今回のワークショップに参加した少女たちが、テクノロジー技術は身近な日常の中にあることや、テクノロジーを使うことは生活の中で課題解決方であることなどを学び、理系という選択が少女にとってハードルの高いものではなくなり、将来への選択肢が増えることを期待しています。
ガールスカウトでは、これからも少女がさまざまな力を伸ばすことができる機会を提供していきます。

参考資料:令和2年版 男女共同参画白書 (概要)令和2年7月 内閣府男女共同参画局