ロールモデルがいるって素敵

わたしはガールスカウト

ある日、小学校4年生のガールスカウト、Kさんは長かった髪の毛をバッサリ切ってショートカットヘアで集会に来ました。うれしそうに「ヘアドネーションしたの!」と他のメンバーに話をしていました。

きれいなボブになったガールスカウトのKさん

憧れのお姉さんがロールモデル

Kさんがヘアドネーションをするきっかけになったのは、1つ年上のお姉さんガールスカウトのSさんから、ヘアドネーションの話を聞いたことでした。
Sさんも実際にヘアドネーションをした一人です。病気で困っている同じくらいの年齢の人がいること、自分にも役に立てることがあること、自分の髪の毛をウィッグを作る材料として寄付できること、そのウィッグを待っていて喜んでくれる子がいることなどを丁寧に教えてくれて、サラサラだった長い髪の毛をバッサリと切ってきたSさん。自分で考え行動に移したSさんに刺激を受け、Kさんもヘアドネーションすることを心に決めたそうです。このときのKさんにとって、Sさんはキラキラしているロールモデルとなったのでした。

多様な価値観を持った異年齢の女性の集まり、というのが日本のガールスカウトの特徴です。5歳から100歳を超える年齢が関わり、世代を超えて活動することで、結果としてコミュニケーション能力も高まっていきますが、それ以上に少女たちは大人たちを人生の手本(ロールモデル)としています。ロールモデルは自分より少し年上に求めます。多種多様なロールモデルが身近にあることは、少女や若い女性が自らの未来を描くときに幅広い選択肢を提供できます。

ヘアードネーションへのチャレンジ開始

Sさんの話を聞いてから、すぐにKさんがヘアドネーションできたかというと…そうではありませんでした。髪の毛を伸ばすということは思っていたよりも大変なことだったのです。寄付するためには髪の長さが31cm以上必要なため、伸ばすのに丸1年かかりました。髪の毛を洗うことも、きちんと手入れをすることも簡単にはいきません。誰かに使ってもらうための大切な髪の毛ですから、粗末に扱うことはできません。それでもあきらめずに続けることができたのは、自分で考え行動に移したSさんのキラキラした姿と、Kさんの中にあった“自分ができることで人の役に立ちたい”という想いでした。

いよいよ、カット。ドキドキします。

ヘアドネーション当日、ちょっと緊張した様子で美容室に行ったKさん。「本当に切っちゃっていいの?」と問いかける美容師に「はい!」と誇らしげに答えたその顔は笑顔。切ってもらった髪の毛を大事に持ち帰り、封筒に入れて支援団体に送りました。

切った髪の毛は指示どおりにまとめて支援団体へ

憧れは次の世代の成長につながる

Kさんがガールスカウトの仲間にヘアドネーションをした話をすると、今度は年下のガールスカウトが、Kさんをロールモデルとして「自分も人の役に立つことをしてみたい。ヘアドネーションする!」と髪の毛を伸ばし始める姿も見られました。

ガールスカウトには、身近に素敵な女性がたくさんいます。憧れのロールモデルを見つけ、「自分もそういう風になりたい!」と成長する少女。ロールモデルとなりキラキラした姿で「もっと素敵な人になりたい!」と成長する少女。「だれかの役に立ちたい」と行動する少女。
ヘアドネーションをするという体験を通して見ることができた、ガールスカウトたちの成長の姿でした。