やっぱり私はガールスカウトが好き

わたしはガールスカウト#体験活動,#自己肯定感,SDGs,ロールモデル,少女たちの声

2月22日はガールスカウト「ワールドシンキングデイ(国際友愛日)」です。世界中のガールスカウトが互いを思いあい、社会をよりよくするために自分ができることを考えます。ガールスカウトたちにとっては、世界152の国と地域にいる仲間を感じられる日となっています。

今日はワールドシンキングデイにちなみ、あるガールスカウトのエッセイを紹介します。ガールスカウト活動への想い、そして、活動を通しての成長を語ってくれました。
寄稿したのは、北海道第20団の小淵 美海さん。高校生年代のガールスカウトのプロジェクトで、地域に根づいた「人への役立ち」を実践した活動を讃えるガールスカウト最高の賞「B-Pアワード」2022年度受賞者の一人です。

ガールスカウトになりました。

 2010年4月、私は北海道羽幌町(北海道の北西部に位置し、世界でも珍しい人と海鳥が共生する島「天売島」と羊と緑の原生林の島「焼尻島」を有する人口6500人程の町)にある日本最北端の団・北海道第34団でガールスカウトになりました。私は何か新しい習い事を始めるくらいの気持ちで入団式に参加しました。町外に住んでいたので、毎回早起きをして父の運転する車で片道62㎞移動して、集会に参加していました。集会のある日はプチお出かけのようで特別感があり週末はとても楽しみでした。第34団はカトリック教会の団でボーイスカウトと一緒に活動していて、いつも賑やかで私はその空気感が大好きでした。

北海道第34団 ガールスカウトになった日

憧れのお姉さんガールスカウト

 入団当初、私は緊張していたので友達を作ることができませんでした。また自分から積極的に人に話しかけることが苦手で、ずっともじもじしていました。小学1年生は私1人で、心細かったときにジュニア※1のお姉さんが声をかけてくれました。私にとってジュニアはすごく大人に見え、何でも真似をしたくなるような憧れの存在でした。お姉さんたちは「美海ちゃん可愛い! 美海ちゃんすごい!」とたくさん可愛がってくれ、困っているときにはいつも助けてくれました。忘れ物をしたときや指示を聞き逃してしまったときには私が困らないようにサポートしてくれました。身近にお世話をしてくれるお姉さんがいる恵まれた環境のもとで、私もフライアップしたときにはブラウニーから頼ってもらえるようなかっこいいガールスカウトになりたいと考えていました。
※1小学校4年生~6年生の部門

ガールだからできること

 ガールスカウトでは学校や家庭では学ぶことのできないことを経験することができます。初めてのお泊まりもガールスカウトでした。親から離れることは怖かったですがそれ以上にガールスカウトのお姉さんと一緒に泊まれる嬉しさが勝り、1泊2日のお泊まり会を終えることができました。自分にできることを増やし、できないことは仲間と協力して解決する大切さはガールスカウトで学ぶことができたのだと思います。またキャンプや野外活動では自然に触れ合う楽しさを、ゴミ拾いや募金活動では自分から動くことの大切さを、国際交流では人と出会い仲を深める素晴らしさを学びました。第34団ならではの長距離ハイキングでは海岸線をブラウニー※2で5㎞、ジュニアで25㎞歩き、仲間と励ましあい諦めない根気を身に付けました。私が自分や故郷である北海道を好きでいられるのもガールスカウト活動の中でその魅力に気づけたからだと思います。ガールスカウト活動で学んだことを日常生活に生かすことができたときに、私はガールスカウトで良かった! といつも心の中で思っています。
※2 小学校1~3年生の部門

北海道第34団 募金活動
北海道第34団 長距離ハイキング

辞める? それとも転団?

 私は小学5年生の夏休みに、親の仕事の都合で引っ越しをしました。そのときにガールスカウトを続けるかどうかとても悩みました。ガールスカウトのことは大好きでしたが、引っ越し先は第34団から車で4時間の距離で通うことは難しいこともあり、辞めることを考えました。しかし、引っ越し先から車で片道1時間の場所に団があること、第34団を辞めたとしても違う団で活動を続ければ、いつかまた友達と再会できることを知り、転団することを決めました。引っ越す夏休みに北海道連盟キャンプがあり、転団先のリーダーやガールスカウトと顔合わせをすることができ、転団することの不安感は軽くなりました。また、私には4つ下に妹がいるので一緒に頑張ろうと思うことができました。

ガールってすごい!

 私がガールスカウトの印象が変わったのは、中学1年生のときに参加した北海道連盟主催のシニアレンジャー※3交流会でした。今まで企画・運営をしたことはなく、自ら環境問題や社会問題について考えたこともありませんでした。しかし、シニアにフライアップしてからはブラウニーやジュニア以上に自分の考えを周りに伝える力がとても求められていることに気づきました。また、関わる相手が中学生・高校生になり、周りの行動力に圧倒されることが多くなりました。そんなことを考えながらガールスカウト活動をしているときに北海道胆振東部地震が起きました。私の家のある町は土砂崩れなどが起き、私自身も震度5弱の地震を経験しました。停電し断水も一歩手前でしたが、懐中電灯や飲料水が手元にあり「そなえよつねに」のモットーが生かせたので、「ガールってすごい」とガールスカウト外の生活で感じることができました。
※3 シニアは中学生、レンジャーは高校生年代の部門

北海道第20団 体験集会に参加してくれた「お友達」への表彰

集会にいけない…

 私は北海道第20団で新しい仲間を作ることができました。また、中学受験することを進めてくれたり、ヘアドネーションというボランティア活動があることを教えてくれたりして私の視野を広げてくれた先輩ガールスカウトと出会うこともできました。そして、最終的には自分の意志で中等教育学校に進学し6年間寄宿舎生活を送ることを決断しました。しかし、寄宿舎生活はガールスカウト活動の時間を作ることが難しく、自然と集会に顔を出すことができなくなっていきました。私はガールスカウトを転団して続けるほど大好きだったので、参加できていない状況が辛かったです。しかし、リーダーや他の団で同じ悩みを持っている同世代の仲間から、「ここまで続けたから辞めるのはもったいない、集会は難しくても北海道規模でおこなわれるキャンプやイベントには参加したら?」などさまざまなアドバイスをもらうことで、やっぱり私はガールスカウトが好きでどんな形でもガールスカウトであり続けたいと再認識しました。

北海道の行事で出会った同世代のガールスカウト

憧れのB-Pアワード

 高校1年生になったとき、ガールスカウト最後のフライアップ式で挨拶をする機会を設けてもらいました。後輩に向けてガールスカウトであることのすばらしさを話すとともに、「スカウト」としてのラスト3年をどう過ごすかの抱負を語りました。それと同時に、私は集大成として何か思い出に残るような大きな行動を起こし、形に残したいと考えるようになりました。同じ北海道でB-Pアワードを受賞している先輩がいたこともあり、いつか私もガールスカウトの最高賞であるB-Pアワードに挑戦したいと思いました。これならば私が12年間のガールスカウト人生で経験したことを最大限に生かすことができ、ガールスカウト内にとどまるのではなく学校や地域に出て多くの人と関わることで自分自身を成長させることができると思いました。そして、たくさんの方に支えられて2022年10月16日にB-Pアワードを受賞するという夢を叶えることができました。

B-Pアワード受賞

B-Pアワード受賞プロジェクトのご紹介

2020年8月6日、モーリシャス沖で日本の貨物船の座礁事故があり、この事故でインド洋に1,000トンもの重油が流れ出てしまいました。今回の事故は日本の貨物船がインドの海を汚してしまったので私はインドに住む友人にとても申し訳ない気持ちになり、自分にできることはないかと考えました。そこで、髪の毛を使い海の環境改善をおこなっている団体に髪の毛を送るヘアドネーションに取り組みました。私は独自のヘアドネーションプロジェクトを立ち上げ、地域の美容室などに協力していただき髪の毛を集めたり、ヘアドネーションについて多くの人に広めたりしました。

プロジェクト「世界の海をClean に」詳細はこちら

発表の様子(YouTube)


ガールスカウトの魅力は、1つのグループ(団)にさまざまな年代の少女と女性がいることです。少し年上の先輩の姿は、少女にとって憧れのロールモデルです。
そしてもう一つの魅力は、全国各地にあること。たとえ引っ越してそれまでの地縁が途切れても、おなじ理念をもとに活動する仲間が各地にいることは、新しく関係を始めるハードルを、軽減してくれるでしょう。

ガールスカウトを通じて成長した小淵さん。これからは自身が少女のロールモデルとして、大きく羽ばたくことでしょう。

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ガールスカウト主な活動

ガールスカウトジャーニー(YouTube)