データでたどる6年間。ジェンダー調査が見せた、若者たちの変化と課題(2019-2024)

思いと願い#自己肯定感,SDG5,SDGs,ジェンダーに関する意識調査,ジェンダー平等の実現,子どものための人権教育

2019年以来、継続してきたジェンダー調査。わたしたちガールスカウトが取り組んできた足跡と調査内容の変遷をたどります。この6年間でジェンダー平等に関する意識はどのように変化したのでしょうか。データで追ってみましょう。

これまでの調査報告書はすべて、公式ホームページに掲載しており、どなたでもご覧いただけます。
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はじまりは2019年の女子高校生調査

2011年にガールガイド・ガールスカウト世界連盟(WAGGGS)は「ジェンダーに基づく差別と暴力」を根絶する取り組みとして「Stop the Violenceキャンペーン*」を世界会議で決定し、2012年から各国でキャンペーンがスタートしました。

このキャンペーンでは、教育プログラムや地域プロジェクトと並び、調査活動を重視していました。そのため、2019年当時すでに、イギリスやアメリカ、カナダなどのガールスカウトは、調査をおこない少女の声を積極的に聞き、それを社会に届けていました。

日本のガールスカウトにおいても、世界的キャンペーンの一環として少女の声を社会へ届けるために、ジェンダー調査に着手したのです。

*Stop the Violenceキャンペーン:特に少女たちの権利に焦点をあてたキャンペーン。女性に対する暴力をなくすことに重点を置いた運動はいくつかありますが、少女や若い女性を対象にして、あらゆる形態の暴力をなくすことに力を注いだ世界的なキャンペーンは一つもありませんでした。少女と若い女性に対する暴力のない社会に向けて、世界中のガールガイド・ガールスカウトがそれぞれの現状や文化的・社会的背景にあったプログラムを2012年から各国で10年間おこなったキャンペーンです。

2019年の調査で見えてきたこと

2019年度調査|回答者:女子高校生 524人

世界的な団体であるガールスカウトの強みとして、他国のガールスカウトの調査報告書の設問を参考にしたり、結果データを比較したりしました。

【調査結果一部抜粋】

  • 6割の少女は普段の生活で性的な嫌がらせや性差別を経験している
  • 5割の少女はメディアでは男女平等に描かれていないと感じている
  • 「性差別的なからかいがある」「女性政治家が少ない」「飲酒や服装が理由でレイプや性暴力の責任が女性にあると言われる」「女性の指導者は発言内容ではなく、服装や外見で判断される」などは、少女・女性の扱いが男性に比べて公平でないことに関係している
  • 学校での役割は、理想では男女ともに担うのがよいと考えている人が80~90%いるにも関わらず、現実には男性が担っている場合が多い(校長先生は男性81%・女性1%、生徒会長は男子32%・女子9%)
  • イギリスのガールスカウトが実施した同様の調査結果と比較すると「何が男女差別なのかが分からない」女子高生が多い

» 「ジェンダー」に関する女子高校生調査報告書 2019を読む

意思決定者に声を届ける

これらの結果を受け、「調査に回答してくれた女子高生の声を社会に届けよう!」と、高校生8人と大学生2人が集結しました。2019年6月18日(火)、衆議院第一議員会館。彼女たちは回答者の代表として調査結果の考察と解決策を提案し、国会議員をはじめ100人以上の参加者がその声に耳を傾けました。 

高校生による発表
100人以上の参加者
100人以上の参加者


2020〜2021年:日常の違和感を言語化し、「自分のからだ」に向き合う

2019年の調査で浮き彫りになった「何が差別かわからない」という状態から一歩踏み込み、2020年・2021年は日常生活や自分の身体における課題にスポットを当てました。

また、2020年度は、女子高校生調査を実施するだけでなく、ユース年代のガールスカウト自身が「女子大学生(18歳から25歳)のジェンダーに関する現状はどうなっているのか」と疑問を持ち、ユースチームをつくり企画・実施しました。

ユース年代の調査から見えたこと
~年齢とともに増加する「女の子だから」という制限と性差別 

2020年度の調査|
2019年12月6日〜2020年1月17日実施、ユース年代女性(18〜25歳) 536人回答 

高校生調査と大学生調査を比較すると、年齢が上がるにつれてジェンダーギャップや差別の影響をより強く受けている実態が浮き彫りになりました。
「女の子だから」と制限を受けた経験は、高校生では47%だったのに対し、大学生では66%へと大幅に増加しています。「不公平・不平等を感じた(38%)」「何かをしなくていいと言われた(37%)」「何かをやらされた(29%)」など、成長とともに様々な制限を感じる機会が増えています。 

 性差別・嫌がらせの体験・目撃率は92%。日常生活の中で「性的な嫌がらせや性差別」を経験したり見たりしたことがあると回答した女子大学生は、92%に達しました。
インターネットやメディアの影響としては、嫌がらせや差別を受けたり目撃したりする場所として、80%以上が「インターネットとメディア」をあげており、日常的に触れるデジタル空間やメディア表現が大きな要因となっていることがうかがえます。

ユースだからこそ追加された設問

この調査の最大の特徴は、同年代のユースチームが企画したからこそ追加された「ライフイベント(就職・結婚・出産)×ジェンダー」に関する設問です。
高校生の視点から一歩進み、将来の進路や働き方に直面する当事者ならではの懸念と実態が明らかになりました。
就職や結婚、出産といったライフイベントを前に、若者が直面している生きづらさや不安は、決して個人に帰せられる問題ではなく、社会の仕組みや固定観念に起因しています。当事者の声を聞き、一つひとつの課題を可視化していくことこそが、ジェンダー平等な社会をつくる推進力になります。
詳細な調査結果については、調査報告書をお読みください。

» 女子大学生×ジェンダー調査報告書2020を読む

2020年:高校生調査|日常に潜む「女の子だから」と学校の「隠れたカリキュラム」

2020年度調査|回答者:女子高校生 700人

2020年は、女子高校生対象の調査も実施しました。「女の子だから」という言葉から受ける制限や、学校生活に潜む「隠れたカリキュラム(無意識の規範)」を数値化しました。また、当事者性を重視し、分析を全国から応募した9人の女子高校生が担いました。
8月から2カ月間にわたり、調査分析をおこない、2020年10月11日、国際ガールズ・デーに報告会を開催しました。また、男女共同参画第5次計画案で募集されていた、パブリックコメントを提出しました。 

報告会の動画をYouTubeでみる

  • 制限の実態:47%の女子高校生が「女の子だから」という理由で制限や不公平を感じていた(「しなくていいと言われた」29%、「不公平を感じた」24%、「やらされた」15%、「あきらめた」11%)。
  • 教員の言動: 共学校に通う生徒の54%が「教師の期待や言動が男女で異なる」と感じていた(教員の言動に偏りを感じる割合は37%)。
  • 無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス): PISA2018の国際学力調査では日本の女子の理数系得点は世界トップレベル(科学528点、数学522点)であるにもかかわらず、女子高校生の48%が「男子の方が理数系の能力が高い」と思い込んでいた(大人の27%より高い割合)。
  • メディア描写: メディアで男女が「平等に描かれている」と思う女子高校生はわずか8%にとどまった。

» 「ジェンダー」に関する女子高校生調査報告書 2020を読む

2021年:からだ・性と生殖に関する権利(SRHR)への着目

2021年度調査|回答者:女子高校生 304人

2021年は一般財団法人日本女性財団と協働し、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)をテーマに据えました。
高校生が受けている性教育の現状と、当事者が本当に必要としている「包括的性教育(人権や性的同意、性の多様性を含む教育)」とのギャップ、月経や身体の悩みに対する社会的な理解不足が浮き彫りになりました。

  • 何らかの月経にまつわるトラブルがあると回答したのは75%、月経痛や月経前症候群により、学校での勉強や部活動などに支障をきたすと答えたのは39%
  • 月経の周期を変えたり止めたりするなどコントロールすることについて、すべきでないと回答したのは29%、わからないと答えたのは22%
  • 産婦人科や婦人科、レディースクリニックを受診したことがある高校生は21%
  • 将来子どもを産みたくないと回答したのは25% 一番多い理由は「仕事や自分のやりたいことを優先したいから」
  • 性の情報をインターネットやSNSから得ているという回答が66%
  • 日本の性的同意年齢は何歳か、という問いに13歳と正答できたのはわずか14%

2022〜2023年:社会に出る不安と、学校現場における「違和感」の深まり

年代が上がることでの変化や、中学生年代へ視野を広げたことで、より詳細な構造が見えてきました。

2022年:ユース年代(18-25歳)が直面する社会の壁

2022年度調査|回答者:18〜25歳の女性 300人

2020年に実施したユース年代対象調査の2回目の設問では、1回目ではなかったオープンに語られにくかった「生理」や「避妊・ヘルスケア」にもフォーカスしています。

  • 制限の増加: 「女性だから」という理由で行動や選択を制限・あきらめた経験がある人は79%に達した(2020年の女子大学生調査66%から大幅増)。
  • 女性像の形成源: 「女性はこうあるべき」という固定観念を作る原因として、メディア(78%)、学校(59%)、家庭(50%)が挙げられた。
  • 生理・避妊の課題: 生理による体調不良で休暇を取ったことがある人は26%にとどまり、うち59%は「生理であることを伏せて休んでいた」(生理休暇制度の利用者はわずか3%)。また、避妊や性感染症の相談機関を知らない人が44%に上った。

» 18–25歳対象 ジェンダーに関する調査報告書 2022を読む

2023年:中学生へ対象拡大〜高まる「不平等」への感度

2023年度調査|回答者:女子中学生・女子高校生年代 500人

対象を女子中学生にまで拡大し、学校や日常の違和感を比較しました。

  • 学校での不平等感: 「学校の先生が男女平等に接していない」と感じる高校生年代は約3割となり、2020年調査から9ポイント増加した。
  •  強制される役割: 「女の子だから何かをやらされた」と感じた高校生年代は30%となり、2020年の15%から2倍に増加。
  • 年齢による意識差: 「性的な嫌がらせや差別」を見聞きする割合は中学生45%に対し高校生年代は61%。「しなくていいと言われた」割合も中学生40%に対し高校生年代52%と、年齢が上がる(社会や学校での経験が増える)につれ、不公平を認識する割合が高まる傾向がデータで実証された。

» ジェンダーに関する女子中高生調査報告書 2023を読む

2024年:男子も調査対象へ〜「女子だけの問題」から「みんなの課題」へ

2024年度調査|回答者:中学生・高校生年代の女子・男子 計1,348人

2024年、ガールスカウトのジェンダー調査は大きな転換点を迎えました。2023年の調査での「男子の声も聞いてみたい」という回答を受け、調査対象を男子中高生にも拡大し、性別を超えた学校・家庭の構造的課題に迫りました。

  •  性別によって異なる「縛り」:「性別を理由とする対応」について、女子は「しなくていいと言われた(力仕事など)」ことが多いのに対し、男子は「(力仕事や役割を)やらされた」と感じている割合が高く、双方異なる形で性別役割分担のプレッシャーを受けていることが判明した。
  •  男子高校生の自己肯定感と容姿の悩み:自己肯定感が「高い」と答えた割合は、男子高校生が40%で最も低かった(女子中学生44%、女子高校生42%、男子中学生57%)。また、自分の容姿に満足していない割合は女子高校生58%に対し、男子高校生も47%と半数近くに上った。
  • 日常に潜む嫌がらせ:日常で性的嫌がらせを受けたり見たりした経験は、女子高校生22%に対し、男子高校生も25%と、性別を問わず高校生年代で高くなっていた。

中学生・高校生のジェンダーに関する意識調査 2024を読む

データが物語る「変化」と、私たちが進む未来

2019年から2024年までの6年間のデータを比較すると、明確な変化と課題が見えてきます。

1. 「何が差別かわからない」から「違和感を声にする」へ

2019年時点では海外と比較して「差別が何かわからない」という層が目立ちましたが、調査を重ねる中で、日常の「女の子だから」「男の子だから」という刷り込みや「隠れたカリキュラム」に対する解像度が高まりました。

2. 調査テーマと対象の広がり

「現状把握(2019)」から始まり、「日常の差別や学校(2020)」「身体・SRHR(2021)」「ユース年代と社会の壁(2022)」、そして「中学生(2023)」「男子(2024)」へと対象を広げたことで、ジェンダーギャップは女子単体の問題ではなく、男子も含めた社会構造全体の問題であることがデータで裏付けられました。

データは単なる数字ではありません。そこには、日々モヤモヤや不公平を感じながら生きている中高生・ユース年代のリアルな「声」が詰まっています。

ガールスカウト日本連盟では、これからも調査を通じて子ども・若者の声を可視化し、社会へ届ける取り組みを続けていきます。ぜひ、みなさんも実際の報告書を開き、彼女たち・彼らの声に心を寄せてみてください。

現在、2026年度の調査実施中

より多くの声を中高生のリアルな声を社会へ届けるため、幅広い参加を呼びかけています。
ご協力をお願いします。 

ジェンダーに関する意識調査2026に協力する