Chip Camp in 東京開催報告〈part3〉
2026年2月、ガールスカウト日本連盟はマイクロン財団の支援、広島大学の協力を受けて、女子のためのSTEAM教育*事業「Chip Camp in 東京」を開催しました。
*STEAM教育:Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを統合的に学習する、理数教育に創造性教育を加えた教育概念。
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実施日|2026年2月21日-2月23日 |
6回目の開催となる今回は、14都府県から53人の中学生と高校1年生が参加しました。本ブログでは、3日間の豊富なプログラムの中から特徴的な活動にハイライトし、3回に分けて報告します。
AIの世界
最終日は、AIについて学び、青山にある先端技術館にて、Chip Campでの内容と関連のある技術も含めた最先端のテクノロジーが生み出した素材や製品の体験と見学をしました。
3日目は、AIが物事を学ぶプロセス、AIと私たちの違いについて学びました。
「みなさん、前の絵を見てください。豚だよね。みなさんは、豚の顔をどうやって豚だって認識しますか?
猫との違いはどこでわかりますか?」
川田教授は人工知能の学習プロセスを教えてくださいました。
「人は、誰かに教わったり勉強したりしたから、違いが分かります。
AIも、はじめはなにも知りません。
人間が情報をインプットして初めて、形と名前を覚えていきます。
何度も画像と名前の情報を与えてようやくわかる。実は単純なんです。
情報をインプットする量がとても多くて、早く処理できるから、人間から見るとすごい!と思えるだけで、やっていることは単純なんです。」
川田教授のお話はAIリテラシーへと続きます。
去年の春、奈良で開催したChip Campで、川田教授は家族にLINEでメッセージを送りました。
『奈良に来ています。花粉が積もるくらいひどいです』
このテキストに合わせて生成AIがつくった画像を一緒に送ったそうです。
生成AIがつくった画像には、鹿がいて、お寺があり、桜が咲き、花粉が山盛りに積もっているものでした。
花粉が奈良公園に山のように積もった画像をつくりだしました。
花粉が山盛りに積もる光景は現実にはおこりません。
しかし、AIは与えられた情報を学習して、このような結果を出しました。
学習の成果だけど、正しくはありません。
だから人間は生成AIに正しいことと間違っていることを教えないといけません。
人間が正しい判断をする必要があります。
AIは学習した内容に関して威力を発揮しますが、新しいものを創造するという面ではまだ人間を超えることはできない特徴があります。
ここからは画像認識機能アプリを使った実習です。
画面に出るお題の通りに、スクリーンに絵を描いていきます。
「お城を描いてください」
「黒猫を描いて下さい」
といった指示があらわれます。
参加者は指示に合わせた絵を描いていきます。
制限時間が設けられており、時間が来ると画面上のシャッターが閉じられてしまうため、あちこちで歓声があがります。
アプリは描かれたものから、なにが描かれたのかを判断します。
何度か描き進めるとアプリの認識スピードが速くなります。
描いている途中でもすぐに答えてくる変化には驚きます。
AIは画像データを収集して学習しており、集まるデータが多ければ多いほど、認識速度が速まることを感じました。
「次はAIをだましてみよう。
今まではお題を伝わるように描いてきたけれど、
AIをどこまでだませるか、やってみよう!」
川田教授から次のチャレンジが提示されました。

お題『病院』に対して、四角を描き、AIの反応をうかがいます。
「四角」「ベンチ」と答えるAI。
先ほどまで5秒で回答していたAIも、10秒を過ぎ、タイムアウトを迎え、回答できなくなってしまいました。
AIに認証されない様に描くことで、正しく教えないと、AIは正しく学習しないことがわかりました。

AIにどんどん学習させて精度をあげること、AIの結果を疑うことを学んだあとは「AIの活用と課題」AIが未来にどう影響するかをグループで話し合いました。
AIと人間の得意不得意を考え、グループごとに発表しました。発表の中には、AIがなにか間違いを犯したときに、AIに特化した裁判官が必要だという意見があがりました。
また、人がつくった創造物に対する価値を見いだすことは、AIにはできないのではないかという声もあがりました。
AIは単純な作業を早く、たくさん続けることができます。
人間だと同じことの繰り返しで飽きてしまうことも、AIやロボットはずっと続けられるのが強みだということがわかりました。
一方、AIは自分で考えて、感じて、つくるということはまだまだ苦手です。
コミュニケーションを取ることもだんだん得意になってきているけれど、感情をくみ取ってそれに合わせて対応するというのは、人間の方が得意なようです。
また、いろいろな条件がある複合的な問題を解決するのはAIが苦手で、人間にできることだと言えます。
人間との決定的な違いは、身体を持っているか、持っていないかという点です。
からだとこころを鍛えていくことは、人間だからできることであり、その人自身を豊かにしてくれることでしょう。

参加者の皆さんにChip Campバッジと修了証が授与され、午後は先端技術館へ見学に行きました。
最先端の研究現場
東京・青山にある先端技術館では、地球との共生や、困難を解消する最先端のテクノロジーが紹介され、日本のモノづくりの精密さ、極める力がさまざまに発揮されていました。
体験ブースでは、ブロックプログラミングでボールを動かし、障害物をよけてホールインワンを目指すようなプログラミング体験で盛り上がりました。
ロボットと工作ブースでは、ロボットや道具の動きを更に観察することができました。



STEAMを幅広く体験するChip Campが終わりました。ここから自分の興味の種を見つけ、育てていくことを願っています。
今回の運営に参加したユース年代のガールスカウトからは「参加者と一緒に体験ができてよかった。自分の地域に持ち帰って学んだことを伝えたい。」「新しいことをたくさん学べた」「教育課程の学生の皆さんの運営に学びが多かった。エンジニアの皆さんのお話も学びになった」と充実した様子でした。
Chip Camp参加者の声
・今回のChip Campは私にとって、半導体やAIについて興味を持つきっかけとなりました。普段は生活の中に溶け込んでいるけれど、私たちの生活の中には、まだまだ知らないことがたくさんあるのだと実感しました。これからは生活をしている中で半導体はどのように使われているかを考えたり、私たち人間はどのようにAIを活用していけば良いのか考えたりして、家族や友達などに自分の考えを伝えてみようと思いました。
・今まで理系分野にすごく苦手意識があったけど、お話や体験もすごく楽しくておもしろくて少し好きになれました!
もう一日欲しいくらい生活面のところでも楽しかったです!!
・技術分野について学べて知識が増えて天才になった気分がしました。友達もたくさん増えてとっても楽しかったです。
・コンピュータを使って学校をどうしたらより良くなるか、みんなで考えるといろいろな意見が出て楽しかったです。
・今回2回目の参加でした。前回お話ししたかった大学院生に再会できて、たくさん話せたことがとても嬉しかったです。
今回のようなガールスカウト以外の大学生と一緒に同じことを学んでいく機会がまたあればいいなと思いました。
大学生は年齢が近く、専門的な知識を持っているので、質問がしやすかったです。
・エンジニアや大学教授、大学生や遠方から集まったガールスカウトと多くの学びを得られる新鮮で貴重な時間を過ごすことができました。私は普段情報科の高校でプログラミングや情報社会などを学んでいるので、その学習が数年後の大人になった自分にとって良い影響を与えられるように頑張りたいと思います。
最初は友達ができるか不安で、難しいことばかり勉強するのかなととても不安だったけど、勉強していくにつれ、理系にも前より興味を持てて、体験しながら楽しく勉強できて良かったし、とても安心しました。貴重な経験をありがとうございました!!
・ラズベリーパイで車を作ったのが楽しかったです。プログラミングを一つ変えただけでも、だいぶ変わってしまっていたので、慎重さが大事だと思いました!!
マイクロンのみなさんや広島大学のみなさんにたくさんのことを聞けてよかったです!!
・学校で理系や技術を勉強する時出てきたら勉強したことを役立てたい。
・今までは理系には向いていないと思っていたけど、今回のキャンプでおもしろそうだと思えた。
ガールスカウトのSTEAM教育
理数分野の職に就く女性の割合が低いことから、小さな頃から専門的に学べる機会を設け、好奇心を持続する機会をつくるために、ガールスカウトではSTEAM教育プログラムを開始しています。
2進数、コンピューターの仕組み、ロボットの仕組み、半導体技術、サイバーセキュリティについて、企業と大学の協力を得ながら学びを広げています。
以前の活動報告より Girls Going Tech in 東京「ロボットの世界を知ろう」開催報告











